つれづれぶろぐ

さぬちゃんの麻酔科医生活

WEB連載 麻酔科医の実は… Dr. さぬきがこっそり聞き出すホンネ

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2016年1月号〜12月号のオペナーシングで、「もうびくびくしない Drさぬきレクチャー しっかりじっくり薬剤ばなし」を連載します。また、巻頭マンガ「教えて!Dr.さぬき! 新人オペナースかすみの薬剤ビクビク事件簿」も12ヶ月担当します。さらに、このバナーにある様に、オペナーシングのWEBサイトで「WEB連載 麻酔科医の実は… Dr. さぬきがこっそり聞き出すホンネ」も始まりました。1月号は2015年12月18日に発売されています。麻酔科医が使う薬を、1年間かけてじっくり解説します。書き下ろし連載ですので、新ネタもたくさん用意しています。

WEB連載は、無料で上記のサイトでダウンロードできますのでご一読下さい。第1回は、「アルチバ®って?」です。

麻酔科ハナとマックグラス

 

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www.amazon.co.jp

麻酔科医ハナ⑤の巻頭ページにはMcGRATH MAC(マックグラス)が、エアウェイスコープ(AWS)の新型のような紹介のされ方で登場している。ちなみに、AWSは麻酔科医ハナ②の巻頭ページに大々的に取り上げられていた。2巻は2009年、5巻は2015年に発売されているので、6年で世代交代した形である。麻酔科医には新しもの好きが多いためこの流れは納得できる。さらに、世の中の麻酔科医には、「麻酔科医ハナ」の絶大なファンも多く、この書籍で取り上げられると麻酔科関連の機器の売れゆきにも多大な影響を与えていると管理人は考えている。

 マックグラスというのは、麻酔科医ではなくビデオ喉頭鏡を開発したデザイナーの名前である。今は、McGRATH MAC代表取締役(いわゆる社長)になっている方である。McGRATH MACという名前の由来はマッキントッシュ喉頭鏡に似た構造をしているためである。

 管理人はMcGRATH MACが大好きである。マックグラス氏とお話ししたこともあるし、一緒に写真を撮ってもらったから好きというわけではない。これほど、麻酔科医の感覚にピピッとくる喉頭鏡はないと思っている。オリジナルのMacintoshの使い方を知っていれば、使い方は説明されなくても想像がつく。従来の道具の使い方を生かしたまま進化させたというところが、スゴイのである。

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 拙著のDr讃岐流気管挿管トレーニングを持つマックグラス氏である。右はミーハーな感じで写っている管理人である。

 一方、マッキントッシュ喉頭鏡を開発したのは英国の麻酔科医である。つい最近まで、というか管理人が麻酔科医になった頃(1989年没)まで生きておられた。マッキントッシュは、1955年にイギリス国王から功績をたたえられ、一世代限りではあるがKnightの称号をもらい、マッキントッ シュ卿(Sir Macintosh)となった。Macintoshは、1943年に発表され、いまでも喉頭鏡のゴールドスタンダードである。

Jephcott A:The Macintosh laryngoscope. A historical note on its clinical and commercial development. Anaesthesia 1984; 39:474-9.

 

 Macintosh喉頭鏡の極意は、一言で言うと「面を使う」ということである。

http://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/all/cadetto/magazine/1003-t1/201010/517030.html

 

さて、本題に戻るが、「麻酔科医ハナ」が管理人は大好きである。この本の凄さは、ルビにある。例えば、「動脈ライン」の動脈にはAとルビがふってあり、「心臓麻酔」にはヘルツというルビがふってあるのだ。各診療科の医療マンガが、発行されている今、麻酔科医ハナほど、リアリティーのあるものは見たことがない。どの話しも、実話のようなできばえである。

ちなみに、管理人は、4巻のあとがきに登場している。

msanuki.hatenablog.com

 

こんどは、麻酔科医ハナとコラボで医師向け書籍を作りたいと考えている。「さぬちゃん書籍 featuring 麻酔科医ハナ」である。きっと面白いものができると勝手に想像している。請けていただけるだろうか。

 

 

 

キセる麻酔 「キセってます」

「キセる麻酔」をご存じだろうか.名称があまりよろしくないが,昔のキセル麻酔ではない.昔のキセル麻酔とは,VIP患者の麻酔を頼まれた部長先生?が,導入と覚醒の時だけいて,残りの麻酔維持(意識がない部分のみ)は部下に任せることをキセル麻酔と呼んだらしい.しかし,今の「キセる麻酔」は,これではない.キセる麻酔というのは,著者が定義した新しい言葉である.参考文献には「キセル麻酔」と記述したが,紛らわしので最近は「キセる麻酔」と書くことにした.「キセる麻酔」とは吸入麻酔薬で維持を行い、覚醒させるために吸入麻酔薬を強制的に排出させるために行うプロポフォールへ切り替える方法である.麻酔導入時にもプロポフォールを使用しているので始めと終わりのみプロポフォールを使用するという意味で,たばこの道具「キセル」(カンボジア語)に当てはめて命名した.
「キセる麻酔」では,吸入麻酔薬からプロポフォールに切り替えたことを「キセっている」と表現する.たとえば,「セボのキセるをしていたんだけど,手術が終盤になったので,もう,キセってます.」と言うように使う.
応用編に「ダブルキセル」というのがある。オピオイド(鎮痛薬)のキセルはもちろんだが、鎮静薬のキセルも行う。このことをダブるキセルと呼ぶ。フェンタ-アルチバーフェンタのキセルと、プロポフォールーセボフルレンープロポフォールである。鎮痛薬の方は、コストは度外視、鎮痛薬の方はプロポフォールの消費量を減らすためセボフルレン(2L/min中流量)を併用する。まあそこまでこだわらなくてもよいが、手術が長くても少々肝機能が悪くてもプロポフォールを500mg以内(導入時に用意したTCI用の50mlを1本)で終わらせるので覚醒が遅くなる心配は少ないし、無駄がない。最近は、ダブルキセルオピオイドを上乗せ麻酔としているのでもっとお安い。学術的な意味づけはこれからであるが、アルチバの乗り換えの一つの方法として「上乗せオピオイド」はお手軽で先に書いたようなメリットが期待できると考えている。いかがだろうか。

全身麻酔のあらゆるフェーズで、麻酔薬を適切にのりかえて行うことで、患者および麻酔科医にやさしい麻酔をめざす

一つの麻酔薬に固執することなく全身麻酔を行うことが可能であるが、麻酔薬のきりかえ時には混在した状態が生じうるため、麻酔状態の変化にはの十分注意しなければならない。この状態を、モニタリングするためには、術中脳波モニターが必須である。


【参考文献】麻酔・救急・集中治療専門医の極意(新興交易医書出版) 貝沼関志 編著 ISBN4-88003-659-5
p.72-76 吸入麻酔薬でも時間通りに覚醒させる-「キセル麻酔」もやります- 讃岐美智義

 


1: Liang C, Ding M, Du F, Cang J, Xue Z. Sevoflurane/propofol coadministration provides better recovery than sevoflurane in combined general/epidural anesthesia: a randomized clinical trial. J Anesth. 2014 ;28:721-6.

Wi-Fiは、ワイファイと読むのではなかったか?

ちょっと前に、ベルギーに行ってきた。ホテルのフロントでのこと。フロントのお姉さんが、このホテルは無料でWiFiにアクセスできると言っている。何度聞いても、WiFiは「ウィフィ」と聞こえる。私だけでなく、他の人にも言っているので、「このお姉さんワイファイを知らない」と思っていた。日本では、あまりITに詳しくない方が、よくWiFiを「ウィフィ」と読んで笑われる状況がある。ゲーム機のWiiがウィーという読み方であったので、WiFiをウィーフィーと読んでいたのではないかと思う。このサイトによると

ja.forvo.com

英語ではWi-Fiは「ワイファイ」であるのだが、フランス語やバスク語ではウィフィと発音している。ベルギーの女性(オランダ語)もウィフィと読んでいた。

ところ変われば発音は変わるのである。しかし、日本で「ウィフィ」と読むと、明らかに無知だと思われるので、お気をつけくだされ。

フツーの麻酔科医

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FACEBOOKの写真を変更した。わかくなった?とか、さまざまなご意見がある。恐らく、この写真は昨年の臨床麻酔学会のときのランチョンセミナーの写真だろう。本人としては、むしろ年をとったと思っているのだが、いかがだろう。

 さて、本題。「フツーの麻酔科医」について。最近、麻酔をかけているときに、手術室の看護師から「先生は、フツーの麻酔科医でないから」といわれるとドキッとする。なぜ、この人達に私の素性がバレているのか?そう思うのであるが、次の瞬間、大抵は「他の先生とは違って、わかりやすく指示してくれるから」とか「先生がすると失敗しないから」といわれて、ホッとする。それは、当たり前である。医師になって、いや、麻酔科医になってすでに30年近くなる(正確には、あと何年かで30年になる)。しかし、この「先生は、フツーの麻酔科医でないから」というコメントは、聞き捨てならない。裏を返せば、そうでない麻酔科医が多いということである。このFACEBOOKの写真のように、ゆるやかに階段をあがるように、麻酔科医としてのスキルは向上する。スキルというのは手技という意味ではない。行動や所作あるいは考え方を含めたスキルである。今日よりは明日、この症例よりは次の症例の方がうまくいく確率が上がると考える。調子が悪いということもあるのだが、いつまでも調子が悪いで片付けられるわけではない。立ち止まることもあるが、必ず前を向いていれば、今を頑張れば、必ず次の階段に登れるのである。ただし、いい加減に片付けていたり、マンネリ化して今をあきらめていると、決して階段は登れない。

 私は「フツーの麻酔科医」である。フツーでない麻酔科医が、多い状況は何とかしなければならない。少なくとも、看護師にそう思われているのは、麻酔科の名折れである。

 みんな、もっと頑張って欲しい。

わたしが、フツーでないのは、テクノロジー系の麻酔科医であるという点だけである。テクノロジー系麻酔科医であることは、看護師にはバレていないようだ。このブログを読んでいれば、バレるのだが、こういった情報はインターネットからは得ないらしい。

過去の記事で、以下の様なところを読んでみればわかる。

msanuki.hatenablog.com

msanuki.hatenablog.com

 

点滴ルートを確保するときに失敗するんじゃないかと思わないこと!

病院内で、呼び止められてふと振り返ると、懐かしい顔があった。以前、手術室で一緒に働いたことがある看護師さんだった。今は、外来看護師として働いている。この看護師さんが、唐突に「先生の本に書いてあった、点滴を失敗しないコツはいまでも守っているよ。点滴ルートを確保するときに失敗するんじゃないかと思わないこと!でしょ」。一瞬、私の頭が???となったが、先生の本とは「麻酔科研修チェックノート」のことであることを思い出した。確かに、初版から動 静脈ルート確保のPOINTとして、「穿刺時に「失敗するのではないか」と思わないようにします」とかいている。第5版ではp.297にある。研修医に私がいつも言っていることを聞いている看護師さんもいて、それを思い出して言っているのかと思ったが、「麻酔科研修チェックノート」を密かに読んでいたらしい。彼女は初版の読者であった。

今では、「麻酔科研修チェックノート」は研修医に限らず看護師、医学生、薬剤師などが持っているのを目にするが、初版本を読んでいたとは恐れ入った。初版が出たのは2004年である。

「麻酔科研修チェックノート」は、麻酔科医として働き始めてから、麻酔科に研修に来た後輩や看護師などに教えてきたことを文字にした、マニュアル本である。教科書には通常書かれていない「さぬちゃん語録」が、随所にちりばめられているため、そこがウケているという話もある。この「さぬちゃん語録」がさらにパワーアップして、もっと詳しく「今の麻酔の考え方」を示したのが、今年6月に上梓した「やさしくわかる!麻酔科研修」である。この本は、構想10年、執筆に本気で半年以上かかっている。筆が遅いといわれればそれまでだが、これほど世に出るまでに時間がかかった書籍は初めてである。かなり、内容を何度も練り直し最新情報を入れて、本文は何も予備知識がない看護師1年目でも理解できる程度とした。医師であれば、研修医でもすいすい読める内容であるが、これを読んだ後は、きっと麻酔科のやっていることがクリアーに理解できる様になる。実際、医師3年目の駆け出しの麻酔科医たちから「むっちゃ分かりやすい」とのお褒めの言葉もいただいた。医療機器を販売している方々や麻酔科医の使う薬を販売している方々が、最近、この本をもって私のところにサインを求めに来たついでに、自社の製品を宣伝するという新手のセールスも横行しはじめた。

 本来、私がこの書籍を執筆した目的は、麻酔科のやっていることを麻酔科にかかわる多くの医師、コメディカル、周術期関連製品を扱っている方々に理解してもらうことにあった。その意味では、もっと多くの方々に知ってもらいたいと思う、今日この頃である。讃岐塾で繰り広げられるさぬちゃんワールドを広めて周術期医療をよりよいものにしたいと考えている。

 あ、そうそう、もう一つ言い忘れたことがある。ポリクリのネタや研修医の指導のネタに困っている指導医の方々にもコメントをいただいた。たくさんのネタが隠れているので、参考になると、、、お世辞かもしれないのだが、とてもうれしいコメントだった(^_^)/

 

 

やさしくわかる!麻酔科研修

やさしくわかる!麻酔科研修

 

 

 

 

 

麻酔科研修チェックノート―書き込み式で研修到達目標が確実に身につく!

麻酔科研修チェックノート―書き込み式で研修到達目標が確実に身につく!

 

 

麻酔科医的な身体感覚!?

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原稿書きに疲れたので、身体を動かすことにした。約1年ぶりのインラインスケートである。インラインスケートはスキーのオフトレとして10年ほど前にスキーを始めたときから開始した。最近は、少し疎かになっていたので、冬シーズンのスキーに備えて再開したいという思いがある。

さて、本題。

 インラインでは、スキーよりもシビアな動作が要求される。インラインもスキーもバランスが大切なスポーツであることには違いないが、前後バランスはインライン方がスキーより短い分だけ、シビアである。靴に寄りかからずセンターに乗れるようになると、スキーを履いた時にしっかり踏み込めるポジションができる(と信じている)。
 スキーの雪面コンタクトとインラインスケートの地面コンタクトには共通点がある。コンタクトせずに方向を変えていくことはいずれも不可能なため、大地とのコンタクトが大事である。
 スキーではターン後半からニュートラル(切り替え部分)に移行する感覚が大切だが、これはインラインでも同じ。このニュートラルの部分で、一旦斜面にフラット状態なる感覚が、ターン前半のスムーズな運動につながる。インラインでは、"立つ”感覚なのである。このきりかえがうまくないと、スピードを出していると取り返しがつかない事態になる)。インラインもスキーも、走る感覚ではなくて歩く感覚で、体幹部の真下で足が左右に入れ替わる身体感覚なのである。

今日のインライン、始めてみると課題は従来から抱えているものとおなじ。左ターン(右が外足)は、キレイに動けるが、右ターン(左足が外足)になると、うち足(右)に乗ってしまうくせが抜けない。つまり、左足の地面コンタクトが悪い(身体から遠くに左足がある感覚)。久しぶりで筋力が弱っているだけではなく、明らかに左足が不器用になっている。右ターン→ニュートラル1→左ターン→ニュートラル2→右ターンのうち、左ターン→ニュートラル2→右ターンがまずい。微妙に遅れている。反応性が悪い。少し前からかまえてみても遅れる感は否めない。呼吸で言うと、吐ききらないのに吸い始めてしまう感じである。90分程度で、身体感覚がすこしわかりかけたところで本日は終了。

 一番大切なことは一回二回巧くいかないからといって止めないことだと思う。練習を継続するところに意味がある。これは、日常臨床における手技も同じ。よく、医学は科学なので誰にでもできることが大切といわれるが、まさに、理屈はわかってもできるかどうかは別(うまいかどうかは別)なのである。身体感覚という言葉を使ったが、これは手技の巧拙にもかかわる感覚と同じと認識している。麻酔科だけでなく手術はもっとそうだろう。