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つれづれぶろぐ

さぬちゃんの麻酔科医生活

週刊現代の副作用コワイよ祭り、手術コワイよ祭りの顛末を週刊プレイボーイが報道! 講談社 vs 集英社

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 数週間前から、あの週刊誌「週刊現代」がいろいろやらかしている。医療現場クライシスとして、先週には週刊プレイボーイがその顛末を報道している。

現実問題として、週刊プレイボーイが報道しているような患者が増え、医療現場ではさらに迷惑を被っている。管理人の家にはもう一人麻酔科医がいる。この麻酔科医も、週刊現代の記事をみてダダをこねる患者の処理に時間をとられ困っているというのである。麻酔科医には術前診察という、手術前に詳細に患者の状態をチェックして診察する機会が必ずある。ここで、あの週刊誌にあった薬をのんでいるけどやめた方がいいかと相談されたり、全身麻酔で手術をしたくないとダダをこねて説得に時間が掛かったことなどの苦情を訴える。その記事に、私が荷担したことになってしまっているため、家でひどく叱られた。麻酔科医は、ただでさえ少ないのに、すんなりと終わるはずの術前診察に時間をとられ、麻酔科医の労務を増加させ過重労働を引き起こす。これでは、患者の命を守るはずの麻酔科医が事故を起こすことにつながりかねない。

 実際、管理人のインタビュー記事が不正に怪しいコメントとして使われ、私自身の名誉を毀損されたことに加えて、医療現場での混乱を引き起こしている。私を知る有能な医療関係者は、そのコメントをみて私がそんなことは言わないことは、分かっているため「ひどい被害に遭ったね。」となぐさめてくれる。また別の友人は、日本麻酔科学会の様な公的団体から厳重に抗議してもらい訂正文を出してもらうように働きかけるとか、訴訟をおこすことも念頭に動いてくれている。私自身も、転んでもただでは起きない性分なので、この記事を書いた記者および週刊現代への100倍返しを着々と進行中である。

 記事は以下、2回掲載されている。特にひどいのは以下のURLにある、

gendai.ismedia.jp

の管理人へのインタビューとして掲載されている引用である。

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全身麻酔では自力で呼吸できなくなりますから、手術がうまくいっても、麻酔から覚めるときに肺に痰などが入って肺炎を起こしたり、脳が酸素不足になって譫妄状態に陥るなど、重い合併症が起きるリスクがあります」(広島大学病院講師の讃岐美智義医師)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49080?page=3

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こんなことは、述べていない。適当にインタビューした話から、自分の都合がいいように部分部分をつなげて表現したとしかいいようがない。これを、正しく言い換えると以下の様になる。

全身麻酔は自力で呼吸ができなくなります。麻酔科医がついています。ご安心下さい。全身麻酔をして呼吸ができなくなっても、気道を開通させたり人工呼吸を行うことで手術中にストレスのない身体の状態を維持することができる実力を持っています。麻酔科医は麻酔薬を投与するだけではありません。麻酔薬によって引き起こされる様々な状態に対応することが麻酔科医の仕事です。麻酔科医は麻酔のプロです。」「術前診察は大切です。術前診察時に、これまでにかかった病気、内服している薬や酒、タバコなどについてお聞きします。ウソをつかないように、すべて申告して下さい。特にタバコを吸っている患者さんでは、何年間、何本吸っているのか本当のことを申告して下さい。ご安心下さい。手術が決まればその時点から禁煙をしていただければ、術後に肺炎や低酸素になるリスクを減らすことができます。特に、8週間禁煙が実行できれば、術後の肺合併症が少なくなるエビデンス(証拠)もあります。」「老人などでは、ふだん精神的に何もなくても、手術や麻酔という日常とは異なった体験をしますので、術後にせん妄状態になることがあります。これは、全身麻酔でなくても起こりますので全身麻酔が悪いという話ではありません。せん妄状態は、通常は一過性のもので1週間程度で回復することが多いというのも事実です。」

これを、適当につなぎ合わせて自分の都合のよいような話を作ったと考えられる。そして、この記者のもっとも甘いのは、記事ができあがって掲載する前に、私に査読を受けることなく(みせることなく)掲載してしまったことである。これは、ありえない。

 医学知識もない記者が、このような電話取材だけで正しい記事が書けるわけがない。特に、医学の領域においては必ず、査読をうけて正しいかどうかをみてもらった後に掲載しなければ、間違いを多く含んだ記事になる。

この記事の大半が、この記者の思い込みに基づいた作文であるため、何の役にも立たないどころか読者を震撼させる内容になっているのだ。

また、別の号では、

 

gendai.ismedia.jpのようなタイトルで、私の話としてマイケルジャクソンがプロポフォールでなくなったときの話を引用している。

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手術に麻酔はつきものだが、その危険性は意外に正しく理解されていない。広島大学病院の麻酔科医である讃岐美智義氏が語る。

「麻酔手術は劇薬を使用するため、正しく使わなければ死と隣り合わせであることを理解しなければなりません。

例えば、マイケル・ジャクソンを死に至らしめたのは、日本でも静脈麻酔薬の主流となっているプロポフォールです。呼吸抑制作用があり、投与中は呼吸状態を監視していなければなりませんが、マイケルを診ていた医師は気道確保すらせずその場を離れ、事故が起きたのです」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48988?page=3

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それ自体は誤りではないが、マイケルジャクソンを見ていたのは麻酔科医ではない。この記事は、拙書「やさしくわかる麻酔科研修!」からの引用ではないかと思われる。

 

やさしくわかる! 麻酔科研修

やさしくわかる! 麻酔科研修

 

 

また、麻酔をするためにプロポフォールを投与したわけではない。睡眠薬が効かなかったのでマイケルに眠らしてくれと懇願されてプロポフォールを投与しその場を離れたのである。麻酔薬と睡眠薬は根本的に管理の方法は異なる。麻酔薬を使っているのだから、息が止まることを想定することが当たり前である。麻酔科医の私を雇ってくれていたらマイケルは死ななかっただろう。これを、麻酔薬のリスクと書いてどうする?この記者、麻酔薬がどの様なものかを理解していないかがよくわかる。麻酔をしようと思って麻酔を開始したならば、このようなことには麻酔科医はなんなく対応できる。そして、内視鏡・腹腔鏡手術のリスクのところに続けて、このような、記者自身が理解不十分の例を書いてどうする。テキトーな内容に仕立て上げられたことに怒りを覚える。

 今回の週刊現代の記事について、全体を通して読み取れるのは、読者を不安に陥れる見出しをつけて適当な内容を作話し、売り上げをドーンとあげたいという週刊現代の利己的な所業である。その、ツケは大きいと考えていただきたい。週刊現代の読者を騙すというだけでなく、医療に対する信頼をおとしめたこと、さらに、インタビューした医師の名誉を毀損したことは許しがたい。断固として抗議する。

週刊現代よ!余計なことはせんでくれ!」その頭では、医療記事を正しく書くことはできない。自分の思ったようにあり得ないストーリーで文章を作らないでくれ!社会に多大な迷惑をかけている。

 この文章を読まれて、週刊現代の悪行を報道したい良識のあるマスコミがいることを願うばかりである。