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つれづれぶろぐ

さぬちゃんの麻酔科医生活

サヌキエアウェイ

麻酔科医の欲しいもの 麻酔科関連 麻酔科専門医/指導医 紹介

 

msanuki.com

サヌサピアンという、ファイバースコープガイド気管挿管の補助器具があったのをご記憶だろうか。この気道確保器具は、オバサピアンエアウェイをもじって名付けた、私が自作した気道確保器具である。obassapianというのは、difficult airway のエキスパートである有名な麻酔科医オバサピアン先生である。

Ovassapian Intubating Airway

 Ovassapian Intubating Airway

 

news.uchicago.edu

私自身はオバサピアン先生にはお目にかかったことはないが、オバサピアンエアウェイは気道管理にはすべきことがまだまだあることを認識させられた逸品である。このエアウェイは、麻酔科医の仕事上の様々なアイデアを創出する管理人に火をつけたデバイスである。さらに便利にならないか、さらに容易にならないか、さらに安全にできないかを常に考えることを教えてくれたデバイスである。気道確保は、エキスパート麻酔科医にとって様々な患者、様々な状況やコンディションにおいて自信をもって実践できる手技であるはずであるが、運悪く悪条件が重なると、実力をもったエキスパートでも困難を極める状態になる。

マスク換気や気管挿管は、麻酔科医が得意とする手技ではあるが、難しい局面では器具や道具のよしあしがモノを言う。オバサピアンエアウェイは、気管挿管気管挿管チューブをファイバースコープに先に通しておいた状態で、そのファイバースコープを経口で気管に誘導するときの補助具として使用する。サヌサピアンも同様の目的で、市販のゲデルエアウェイを工作して作ったファイバースコープ挿管の補助器具である。オバサピアンエアウェイは、ファイバースコープを正中に誘導する目的が主であるため、経口エアウェイの本来の目的である「気道の開通」ということに対しては少し短い。サヌサピアンは、マスク換気や自発呼吸時の気道の開通+ファイバー正中誘導という2つ行為を補助する道具として発表した。

 

【サヌサピアン初出文献】

麻酔・救急・集中治療専門医のわざ(新興交易医書出版) 貝沼関志 編著 ISBN4-88003-609-9
p.29-33 ファイバースコープ挿管-30秒で入れる- 讃岐美智義

 

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サヌサピアン

 
サヌサピアンは自作する必要があったのだが、この形状のモノはアイデアとして今でも文献に登場する。実際、インド人も2012年、Modified Guedel’s airway for facilitation of fiberoptic laryngoscopy というものを発表しているが、これはサヌサピアンそのものである。製品として発表されているものとしては、バーマンエアウェイIP(後ろにIPの文字がないバーマンエアウェイには、ファイバーを通す穴がないので注意が必要)というものがある。これはかつて、バーマンエアウェイーTと呼ばれていたものである。これは、中空になったエアウェイの背面に切り込みがあるのではなく、左右に切り込みがあり、右側の切り込みを開くとファイバーが取り出せる仕組みになっている。このバーマンエアウェイIPは、取り扱いが若干むずかしく、ファイバーを通すとファイバーが側溝にはまり込んでしまう場合がある。また、ツバの部分が小さく正中に固定するのに苦労することがある(助手がきちんと正中に保持する必要がある)。側溝にファイバーはまり込まないようにするためには、あらかじめバーマンエアウェイIPに気管チューブを通しておくとよいが、これをしてしまうとファイバーの挿入に手間取りマスク換気にもどるときには、一旦、バーマンエアウェイIP+気管チューブを抜去しなければならない。いずれにしろ、私のシュチュエーションでは使いにくい。挿管が難しい患者は、挿管に時間がかかることが多く、確実にマスク換気ができなければ気管挿管の間に低酸素にしてしまう。これを考えると、ファイバーの出し入れの間には、すぐにマスク換気にもどれてエアウェイ自信がマスク換気の補助として活躍できるモノが要求される。そこで、麻酔科医になってから約30年間ずっと温めてきたアイデアの数々をエアウェイに盛り込んだ製品を開発した。第一弾として、サヌサピアン改めサヌキエアウェイを発売する。

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サヌキエアウェイ

エアウェイ本来の気道の開通にはこだわり、マスク換気時の気道開通で難しい局面である(1)歯がない患者、下顎が持ちにくい患者のマスク換気を容易にする。(2)角がない構造、滑りやすい構造で挿入が楽(表面に梨地加工を施してあり、通常のディスポ製品のように粘膜を擦って傷をつけにくい。潤滑ゼリーが必須ではない)。(3)ツバの構造や入り口部分の構造を工夫し安定しやすい構造で(4)経口ファイバー挿管(7.0mmIDのシングルルーメンチューブ、35Frのダブルルーメンチューブが通過できる。一部のメーカー未確認)や気管挿管後の経口/経鼻胃管挿入など麻酔科医が苦労する局面に対応できる。(5)自発呼吸はあるが咽頭反射がなくなり気道閉塞をきたすような鎮静にも使用でき、自発呼吸消失時にはマスク換気が容易におこなえる。すぐに使えるようにEOG滅菌済みで、個包装されています。1箱10個包入りの予定です。

発売は2017年3月を予定しています。