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つれづれぶろぐ

さぬちゃんの麻酔科医生活

全身麻酔の3要素(3A)と麻酔管理の3B

初期研修医向け 指導法ワンポイント

全身麻酔(Anesthesia)の3要素とは、鎮痛(Analgesia:無痛)、鎮静(Amnesia:健忘)、筋弛緩(Akinesia:不動)と3つのAとして3Aで表すことができる。これは、知っているという方が多いと思う。これとは別に、麻酔管理の3要素とは、3Bで表現できる。BP(Blood pressure:血圧、特に平均血圧)、BT(Body temperature:体温)、BIS(BIS値:脳波から導き出される大脳の活動度、鎮静度)である。この3Bというのは、管理人が研修医によく言っているオリジナルであるが、これを話すと納得する。麻酔管理は、全身麻酔中に3Aを満たすようにモニタをつかって生体を管理しつづけ、その最後には問題なく元の状態に戻ること。麻酔を導入したらおしまいというのではなく、研修医が学ぶべきことは麻酔維持中の状態をコントロールすること(指導医がどのようにコントロールしているかを見取ること)。麻酔薬の上げ下げだけに終始するのでなく、管理目標を設定してその状態に保つには、そのとき何をすべきかを判断すること。たとえば、リスクがない患者であっても3Bを意識する。血圧の管理目標は平均血圧で65以上に、体温(中心温)は37.0℃、BIS値は50を保つために、どうすべかを常に考えること。アラームが鳴らない時のモニタは眺めるものではなく、何をすべきかを考えさせる判断材料を与えてくれるものである。麻酔中は、モニタだけでなく、術野や、麻酔科医が行っている医療行為(麻酔薬投与、輸液や輸血、体温管理、人工呼吸および循環管理)を含めて状態の変化を考えること。ここで、麻酔科研修チェックノート(第3版 p.154)のコラム「攻めの麻酔と守りの麻酔」を思い出して欲しい。攻めの麻酔(先手の麻酔)とは「患者の状態の変化,手術侵襲の変化を的確に捉えて,あらかじめ予測して積極的に輸液管理,循環管理,呼吸管理などを行い適切な麻酔状態に維持すること」で、守りの麻酔(後手の麻酔)とは「ただ漫然と麻酔薬を入れるだけ」と書いているのはこのことである。血圧が下がれば、麻酔薬の投与速度を下げ、血圧が上がれば麻酔薬投与速度を上げるだけではいけない。

なお、麻酔の3要素の3Aは便宜上で、本当はHypnosis(無意識)、Amnesia(健忘)、analgesia(無痛)、Akinesia(不動)、Stability and control(心血管系、呼吸器系、体温調節や自律神経系の安定化と制御)を指す。無意識と記憶がないことは別ものである。これに、Stability and controlが加わって全身麻酔といえる。

全身麻酔の4条件(4A)というのもよく使う。Amnesia(鎮静)、Analgesia(鎮痛)、Akinesia(筋弛緩)、abolition of autonomic reflexes with maintenance of homeostasis(有害反射の抑制)というもの。