つれづれぶろぐ

さぬちゃんの麻酔科医生活

米国麻酔学会の術前身体状態(ASA PS)分類に表示された具体例について

 

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www.asahq.org

米国麻酔学会の術前身体状態分類に2014年に具体例と若干の解説が併記された。

もうすでに3年が経過しているのだが、具体例については、あまり知られてはいないようだ。

この具体例については、少し受け入れがたいものもあるのだが、ASA(米国麻酔学会)が定めた分類であるので利用者である我々がとやかく言っても、決まっているものであるのでしかたない。まあ、このASA Physical Statusを改訂できるメンバーにでも入って意見を言える立場であれば改変はできるかもしれないが、現在、2014年のものが有効であるならばこれに従うしかない。

さて、その具体例なのであるが、和訳して表示するとこんな感じである。

 

ASA PS 分類 

定義 

例(これだけとは限らない 

ASA I 

(手術となる原因以外は)健常成人 

健康、喫煙なし、アルコールを飲まないかすこしだけ飲む人 

ASA II 

軽度の全身性疾患を持つ患者 

(軽度の疾患のみで、実質的に機能制限がない)

現在の喫煙者、つきあい酒を飲む人、妊娠、肥満(30<BMI<40)、よくコントロールされた糖尿病/高血圧、軽度の肺疾患 

ASA III 

重度の全身性疾患を持つ患者 

(実質的な機能制限:ひとつ以上の重度の疾患がある) 

コントロールの悪い糖尿病/高血圧、COPD、高度肥満(BMI≧40)、活動性の肝炎、アルコール依存または中毒、ペースメーカー患者、中等度EF低下、定期的に透析をうけている末期腎不全、60週未満の早産児、3ヶ月以上経過した以下の既往(心筋梗塞、脳血管障害、TIA、冠動脈疾患/ステント留置) 

ASA IV 

常に生命を脅かすほどの全身性疾患を持つ患者 

最近(3カ月未満)の心筋梗塞、脳血管障害、TIAや冠動脈疾患/ステント留置、進行中の心虚血や重度の弁膜症、重度のEF低下、敗血症、DIC、定期的に透析されていない急性腎疾患や末期腎不全 

ASA V 

手術なしでは生存不可能な瀕死状態の患者 

破裂した腹部/胸部動脈瘤、進行中の心虚血や重度の弁膜症、重度のEF低下、敗血症、DIC、定期的に透析されていない急性腎疾患や末期腎不全、重症外傷、圧迫所見がある頭蓋内出血、重大な心臓病変または多臓器/系機能不全に陥っている腸閉塞 

ASA VI 

臓器摘出時の脳死患者 

 

 

https://www.asahq.org/resources/clinical-information/asa-physical-status-classification-system 

ASA Physical Status Classification System. Last approved by the ASA House of Delegates on October 15, 2014 

 

かなり、衝撃なのは肥満患者はBMI≧40でなければクラスIIIにならない。

多くの人が、高齢者や未熟児ついてPS分類を上げるのだが、年齢については明記されていない。考えて見れば、実年齢が多くたって元気であれば関係ない。

まあ、このような具体例が示されたことで、人によって判定のばらつきはなくなる可能性はある。しかし、ここに書かれていないものについては相変わらず?である。

具体例は、こんな感じという雰囲気だけでも伝わってくるので少しは進歩したのかもしれない。

 

 

今日の治療薬アプリ2017(医書.jp)は神アプリ

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いままでは、M2+の今日の治療薬アプリを使っていた。M2+がm3に買収されたこともあって、ちょっと薬品集アプリをさがしていたところであった。

store.isho.jp

医書.jp という医書電子書籍を発売しているサイトからも、今日の治療薬2017のアプリが発売されていることを知った。最初は、M2+と同じものかと考えたが、もしかするとアプリを作り直しているかもしれないと思い購入してみた。すると、、、、????。これが、すごすぎる。2台にの端末iPhoneとiPadにダウンロードして使ってみた(1ライセンスで2台まで使える)。

全身麻酔の友、アルチバを入れて検索してみる。おおー。画面がキレイ。画面が見やすい。

M2+のものとは全然違うことに気づく。

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それだけ?そうではない。一番上になにやら、イソゾール、チトゾール、ラボナールなどと関係のありそうなクスリの候補が並んでいる。これは左右にスライドできて、選択するとその薬品にジャンプできる。これは、ちょっとしびれる機能である。この関係ありそうなクスリの選択がよい!近いクスリが並んでいる。

 今度は、一番下にある 解説を見る をタップしてみる。おおー。初心者に優しい。

 

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はじめに「麻酔薬」、1.局所麻酔薬、2.全身麻酔薬、ケア・看護のポイント、などという項目が並んでいる。これは、医師だけでなく看護もターゲットにいれた製品である。ここに書いているのは教科書的知識で、それを再確認できるのは初心者でなくてもうれしい。特に、薬品を検索すると言うことはその薬剤に関してあまり知識がないものが多いのである。

これがかゆいところに手が届くという設計であろう。

 

 

薬剤の説明を見たければ、「薬剤一覧をみる」で戻る。

そして、ずっとしたにスクロールしてみると、、、、

うむむ、ここれはもしや、、、、

添付文書をダウンロードして表示する機能がある(^_^)/

これは、超うれしい。

 

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添付文書のしたのアルチバ静注用2mg/、、と言うところをタップしてみる。

おおーっ。感動!

添付文書にリンクが貼られてる。

 

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したには、他のアプリに取り込みボタン(矢印上向きのやつ)があって、この端末の他のアプリで保存、閲覧できるようになっている。

 

添付文書のリンクの下には、麻酔薬が分類してあって、それぞれの分類に従ってジャンプできる。

その他、薬剤を分類から調べる、解説を分類から調べる、識別コードから調べるなどがあり思いつく方法で、目的の薬剤にたどり着くことができる。

 

さらに、特筆すべきことは読みやすい紙面である。設定から文字の大きさを選択できる。また、薬価や剤型なども同じ画面で確認できるため、いちいちタップして画面を切りかえなくても表示される。ユーザーの使い方を心得た設計に感激である!

久しぶりに薬品集の神アプリに出会い感動した!

 

そして、M2+の今日の治療薬の使用をやめた。

 

この、医書.jp は、医学書の電子配信プラットホームで、最近、管理人が注目しているサイトである。書籍だけでなくジャーナルの電子配信も始まっているようである。

 

そうそう、宣伝ではないが管理人の「麻酔科研修チェックノート 改訂第5版【電子版】 | 医書.jp 」や「やさしくわかる!麻酔科研修」もここで購入できる。

 

store.isho.jp

サヌキエアウェイ

 

msanuki.com

サヌサピアンという、ファイバースコープガイド気管挿管の補助器具があったのをご記憶だろうか。この気道確保器具は、オバサピアンエアウェイをもじって名付けた、私が自作した気道確保器具である。obassapianというのは、difficult airway のエキスパートである有名な麻酔科医オバサピアン先生である。

Ovassapian Intubating Airway

 Ovassapian Intubating Airway

 

news.uchicago.edu

私自身はオバサピアン先生にはお目にかかったことはないが、オバサピアンエアウェイは気道管理にはすべきことがまだまだあることを認識させられた逸品である。このエアウェイは、麻酔科医の仕事上の様々なアイデアを創出する管理人に火をつけたデバイスである。さらに便利にならないか、さらに容易にならないか、さらに安全にできないかを常に考えることを教えてくれたデバイスである。気道確保は、エキスパート麻酔科医にとって様々な患者、様々な状況やコンディションにおいて自信をもって実践できる手技であるはずであるが、運悪く悪条件が重なると、実力をもったエキスパートでも困難を極める状態になる。

マスク換気や気管挿管は、麻酔科医が得意とする手技ではあるが、難しい局面では器具や道具のよしあしがモノを言う。オバサピアンエアウェイは、気管挿管を気管挿管チューブをファイバースコープに先に通しておいた状態で、そのファイバースコープを経口で気管に誘導するときの補助具として使用する。サヌサピアンも同様の目的で、市販のゲデルエアウェイを工作して作ったファイバースコープ挿管の補助器具である。オバサピアンエアウェイは、ファイバースコープを正中に誘導する目的が主であるため、経口エアウェイの本来の目的である「気道の開通」ということに対しては少し短い。サヌサピアンは、マスク換気や自発呼吸時の気道の開通+ファイバー正中誘導という2つ行為を補助する道具として発表した。

 

【サヌサピアン初出文献】

麻酔・救急・集中治療専門医のわざ(新興交易医書出版) 貝沼関志 編著 ISBN4-88003-609-9
p.29-33 ファイバースコープ挿管-30秒で入れる- 讃岐美智義

 

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サヌサピアン

 
サヌサピアンは自作する必要があったのだが、この形状のモノはアイデアとして今でも文献に登場する。実際、インド人も2012年、Modified Guedel’s airway for facilitation of fiberoptic laryngoscopy というものを発表しているが、これはサヌサピアンそのものである。製品として発表されているものとしては、バーマンエアウェイIP(後ろにIPの文字がないバーマンエアウェイには、ファイバーを通す穴がないので注意が必要)というものがある。これはかつて、バーマンエアウェイーTと呼ばれていたものである。これは、中空になったエアウェイの背面に切り込みがあるのではなく、左右に切り込みがあり、右側の切り込みを開くとファイバーが取り出せる仕組みになっている。このバーマンエアウェイIPは、取り扱いが若干むずかしく、ファイバーを通すとファイバーが側溝にはまり込んでしまう場合がある。また、ツバの部分が小さく正中に固定するのに苦労することがある(助手がきちんと正中に保持する必要がある)。側溝にファイバーはまり込まないようにするためには、あらかじめバーマンエアウェイIPに気管チューブを通しておくとよいが、これをしてしまうとファイバーの挿入に手間取りマスク換気にもどるときには、一旦、バーマンエアウェイIP+気管チューブを抜去しなければならない。いずれにしろ、私のシュチュエーションでは使いにくい。挿管が難しい患者は、挿管に時間がかかることが多く、確実にマスク換気ができなければ気管挿管の間に低酸素にしてしまう。これを考えると、ファイバーの出し入れの間には、すぐにマスク換気にもどれてエアウェイ自信がマスク換気の補助として活躍できるモノが要求される。そこで、麻酔科医になってから約30年間ずっと温めてきたアイデアの数々をエアウェイに盛り込んだ製品を開発した。第一弾として、サヌサピアン改めサヌキエアウェイを発売する。

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サヌキエアウェイ

エアウェイ本来の気道の開通にはこだわり、マスク換気時の気道開通で難しい局面である(1)歯がない患者、下顎が持ちにくい患者のマスク換気を容易にする。(2)角がない構造、滑りやすい構造で挿入が楽(表面に梨地加工を施してあり、通常のディスポ製品のように粘膜を擦って傷をつけにくい。潤滑ゼリーが必須ではない)。(3)ツバの構造や入り口部分の構造を工夫し安定しやすい構造で(4)経口ファイバー挿管(7.0mmIDのシングルルーメンチューブ、35Frのダブルルーメンチューブが通過できる。一部のメーカー未確認)や気管挿管後の経口/経鼻胃管挿入など麻酔科医が苦労する局面に対応できる。(5)自発呼吸はあるが咽頭反射がなくなり気道閉塞をきたすような鎮静にも使用でき、自発呼吸消失時にはマスク換気が容易におこなえる。すぐに使えるようにEOG滅菌済みで、個包装されています。1箱10個包入りです。

www.fuji-medical.co.jp

から発売されています。

 

 

 

第64回日本麻酔科学会初日(6月8日木曜日)14:30 〜 15:30 第10会場に来てね

[招待講演]泌尿器領域における腹腔鏡手術

(6月8日木曜日)14:30 〜 15:30 第10会場 (ポートピアホテル本館 偕楽 2)

演者:繁田正信(呉医療センター・中国がんセンター 泌尿器科科長

司会:讃岐美智義(広島大学病院 麻酔科)

 

 繁田正信先生をお迎えして、泌尿器科領域の腹腔鏡手術のお話しをお伺いする。会長の粋なはからい?により管理人が司会を務めさせていただく。今から、少しわくわくするので皆さんにもお知らせしておこうと思う。繁田先生は、私の大学時代の同級生である。名前がサ行なので、大学の実習などでは同じグループあるいは、となりのグループで素行もお互いによく知っている。司会のスタイルは、どんな感じにしようかと思案中である。「徹子の部屋」、「笑っていいとも」、それとも「報道ステーション」、「シューイチ」いやいやちょっとあらたまって「日曜討論」、どれもピンとこない。

自然な感じで、いこうと決めた。

 お話しいただく内容は、泌尿器科領域の腹腔鏡手術ではあるが、それだけではない。なぜ、繁田先生かといえば、手術がうまいだけではなく、後進の指導がイケているのである。手術がうまい先生は、たいていは自分だけがうまい人なのだが、後につづく若手の医師もうまくなっていく。どこにちがいがあるのかを知りたいと思っている。トレーニング方法ももちろんだが、特に知りたいのは伝授するための考え方や物事のとらえ方である。

 決して損はさせないので、お話しを聴いていただければ幸いである。また、管理人がどの様なスタイルで司会をつとめるかも見ていただければと思う。

 

 

 

 

自動麻酔記録に求めるもの!20160819さぬちゃんの本気の意見

1日だけ夏休みをもらって、いろいろ思いを巡らしている。気持ちがゆっくりしているときに思いつくアイデアは本物だ。そんな中で、自動麻酔記録についての考えをまとめた。

自動麻酔記録とは何か?その最低条件というか、どの様な機能を持っていれば自動麻酔記録と言えるのかを考える。

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最も大切なのは、生体情報モニターの数値データを一定間隔で取り込んで麻酔チャートのグラフを描くことである。一定間隔とは標準的には1分おきのことが多い。記録を清書する目的ならば、2.5分間隔か5分間隔であろう。1分未満(以下ではない)の頻度で取り込む場合には、その記録を航空機のフライトレコーダー的に使用する意図がある。ちなみに、当院は10秒間隔の数値データ取り込みである。数値とは、心拍数(HR)、血圧(NIBPとAP)、SpO2(%)、ETCO2(mmHg)、吸気と呼気酸素濃度(%)、体温(℃)=深部温は最低限の数値連携項目だろう。スパイロメーターや麻酔器から得られる気道内圧Paw(mmHg)(最高値、最低値を含むPEEP)、吸気および呼気の1回換気量VT(mL)、フローFlow(L/min)や心電図のST(mm)も今や標準的な取り込み項目だろう。しかし、生体情報モニターにスパイロがついていない場合や心電図のSTが表示されないモニターを使用している場合には、これらの記録は不可能になる。フライトレコーダー的な標準機能と思われる項目は、いわゆる生命の安全を保障するために監視するパラメータである。標準ではないが、心臓血管外科や大手術を行う場合には、心電図や動脈ライン波形、脳波波形、分離肺換気などを行う場合には、CO2やスパイロの連続波形なども取得、記録できれば貫壁であろう。

手術を行っているのだから、麻酔がうまくいっているかどうかを判定するための項目も手術中には監視する必要がある。ここが、病気や怪我で重症となった患者と全身麻酔で手術中の患者との大きな違いでもある。手術時の全身麻酔では、だれもが全身麻酔状態になるため、患者の状態のみを監視しても片手落ちなのである。すなわち、うまく麻酔薬が脳に作用しているか、筋弛緩薬は効いているか、シリンジポンプがきちんと動いていて静脈麻酔薬の投与は効果がある程度には行われているか、吸入麻酔薬はきちんと投与されているかを監視する必要があるのだ。脳波モニター(SedLine®、BIS®、エントロピー®などのいずれかの処理脳波)や筋弛緩モニター、シリンジポンプの投与速度(mL/h)からの静脈麻酔薬の血中濃度(計算値)および吸入麻酔薬濃度(吸気および呼気%)を数値として、連続的に記録・表示できることが、その場で麻酔をかけている麻酔科医の助けになるだけでなく、術中の麻酔記録として提示することにより医療記録としての正しい証拠を残すことになる。脳波モニターからの数値データ、筋弛緩モニターからの数値データは連携だけで記録・表示が可能になるが、静脈麻酔薬を投与しているシリンジポンプからのデータは、投与薬剤のPK/PD解析計算を行うことにより実現する(図の中段の血中濃度表示)。ただ、ディプリバン®のTCIポンプではポンプから出力される血中濃度データを連携すれば可能になる。

自動記録と言われる所以は、モニターや麻酔器、シリンジポンプのデータを連携して麻酔チャートにリアルタイムにグラフ表示するところにある。しかし、記録が自動でなされないものがある。ボーラス投与の薬剤投与記録や出血、尿量、イベント記録、観察記録や状態記録である。機械が通信機能(データ出力)を持っていない場合にも、読み取った数値を転記する必要がある。これらは手入力である。

ここで問題になるのは、モニターや麻酔器の時刻と自動麻酔記録装置の時刻、手入力項目の時刻の整合性がとれているかどうかである。これらをどう保障するかである。機械ものからの自動入力では、自動麻酔記録装置やモニターの時刻が院内のタイムサーバと連携して時刻同期を自動的にある程度頻回に行うが必要がある。モニター類で、時刻同期機能を持っていない機種に関しては、モニターからのデータが出力された時刻とそのデータが発生した時刻の監視をネットワーク上のサーバでおこなう必要がある(これは、通信経路によるタイムラグやタイムスタンプが前後した時の処理を考えると想像しただけでも大変である)。 手入力項目の時刻に関しては、リアルタイムに入力できる環境やしくみを備える必要がある。また、入力を行う麻酔科医にも、手入力項目に関しては、時刻の整合性を意識して入力することが求められる(教育が必要である)。

この時刻同期の問題を考えると、手入力項目であっても1分おきの時間管理ではどうしても表現できない。すなわち、イベントが起きたからその薬剤をボーラス投与したのか、その薬剤を投与したからイベントにつながったかは1分おきの記録では判断できない。1循環が1分程度であることを考えると、少なくとも30秒おきの入力、できれば5-10秒間隔で入力を管理できるものでなければならない。また、1分に1回の心電図からの心拍数表示では、その値が正時(00秒)のものなのか、00-59秒のいずれかの値なのかが判定できない。通常は、モニターから送信された時刻のものであるため、00秒ではない可能性が高い。自動血圧計の5分間隔測定のデータは、測定できる時刻は血圧によってまちまちである可能性があるため、測定できたときの値である。きっちり5分00秒おきとは限らない。これを、無理矢理5分00秒として管理しているのではなかろうか。

必要なのは、正時(00秒)に合わせることではなく正しい時刻に記録を残すことである。そのためには、1分おきにしかデータ出力がなされない場合であっても、秒単位の記録ができるべきである。手入力項目に関しても、1分単位のイベントなどはあり得ない。その行為を行ったのは分単位ではなく秒単位の記録が残せなければ、自動記録された数値との整合性がとれないのも理解は容易であろう。

 自動麻酔記録を、清書マシンとしてのみ活用しているかどうかはデータの取り扱いがどの様な仕組みでなされているかを見てみればわかる。自動麻酔記録というのであれば、時刻同期や整合性の問題は少なくともクリアすべきである。この問題に関しては、大病院でも小病院でも、手術の長い短い、症例の重い軽いには全く関係ない。ネットワークを組んで運用しているかどうかにも関係ない。

 自動記録として残すメリットとしては、症例のふりかえりがキチンとできるかどうかであろう。統計がデキルとか、データ活用ができるというのはどうでもいい施設であっても、過去の記録をストレスなく閲覧できて、その記録から麻酔経過を読み取ることがデキルかは必須であろう。これは、ファイリングの問題だけではなく、記録を開いた時に如何に容易にその症例記録から状況を読み取る工夫がなされているかが大切である。例えば、イベント記録や検査記録では、マウスを当てるだけでその詳細を表示したり、薬剤の投与では、その時の数値が表す意味(持続速度であったり積算量、あるいは血中濃度など)がわかるなどの配慮が必要である。記事(リマークス、挿管、抜管、退室時の状態記録など)に関しては、表示上は最初の部分しか表示されていなくてもマウスを当てるだけですべてを読むことがデキルことが必要である。ひとつの画面を開いて全体が閲覧できて、マウスクリックすることなく(マウスをあてるだけで)その詳細をキチンと表現できることが求められる。

 ここまでできて、はじめて自動麻酔記録と言えると考えている。PaperChartでは、これをクリアーしているが、このレベルに追いついているメーカー製の自動麻酔記録は片手ほどもない!同じメーカー製のものであっても、できているものと全くお話にならないものがある!

 自動麻酔記録をキチンとしたものにすべきと考えているため、全国の自動麻酔記録のメーカーさんには無料でアドバイスを行いたいと考えている。この記事を読んで、反省している企業の方々、自動麻酔記録を正しい道に導きたいと本気で考えている企業の方々の連絡をお待ちしています。

 

参考文献)

讃岐美智義:自動麻酔記録システムの得意・不得意分野

讃岐美智義:自動麻酔記録は麻酔器の発展にどうかかわるか

msanuki.exblog.jp

 

 

 

捏造はアウト>「週刊現代」の罪

週刊現代」の医療記事が捏造されたモノであると、「週刊文春」が報じている。

週刊現代」に掲載されている取材先からの再取材を「週刊文春」が行い、その事実を検証している。取材先からは、インタビュー記事に関して、掲載前の査読がなかったことから多くの医師が不満を唱えている。かくいう管理人の記事に関しても同様である。インタビュー内容を切り貼りして、専門家の意見とは異なる内容に書き換えられてしまった。しかし、この号の「週刊文春」記事によると、「取材先に事前確認がなかったり、誤りや加筆修正が含まれるコメントを複数掲載している点について」、「週刊現代」は「コメント取材については、もちろんのこと、限られた時間の中で丁寧かつ慎重に行っております」と答えたと書かれている。

 これでは、「週刊現代」記者は全く答えになっていない!お話にならない。

掲載前の事前確認がなかったこと、加筆や修正が必要なコメントを複数?(多数)掲載していることについて真摯に答えていない。

これでは、自分は一生懸命やっている!といっているにすぎない。自己評価を述べている場合ではない。客観的に事実関係を述べるべきである。

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 ちなみに以下が、「週刊文春」に掲載された管理人が「週刊現代」の記事の捏造を暴いているインタビュー記事である。

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これを改めてみて、感じたことがある。医療に関する記事は、明らかに「週刊文春」のほうが、常識的である。自分たちが、医療に関してはプロフェッショナルではないことをきっちり認識しているようだ。掲載前に査読なしに載せたりはしない。事実、この記事が掲載される前にメールで、掲載前原稿の修正依頼が来た。数カ所、意味を取り違えられる可能性があったので修正したら、その通りに掲載された。それが、上記の記事である。

 

さて、これ以降、正確には

msanuki.hatenablog.com

を載せて以来、「週刊現代」はおとなしくなっているかのように見える。少なくとも、麻酔に関する記事に私の名前を掲載していない。名前は載せていないが、今度は無断引用を繰り返してる。明らかに私のコメントとしか思えない文章(このような言い回しは独特で、世界中探しても私しかしないフレーズ類が、至る所に散見される)を、引用先も明示せずに(麻酔科医)という、だれにインタビューしたかわからないように掲載しているのだ。しかも、理解できなかったのか適当に単語を書き替えているため、シロウト丸出しの作文になっている。麻酔科医ならこんな間違いはしないのだ。これも捏造に値する。

gendai.ismedia.jphttp://gendai.ismedia.jp/articles/-/49108

「鎮痛、鎮静、筋弛緩の3つの薬をうまく組み合わせて上手に麻酔をかけ、手 術中、患者さんが痛みを感じず、体を動かさないような状態をつくりだす。しかも同時に、手術後の適切なタイミングで麻酔が覚め、患者さんに吐き気や頭痛と いった副作用が出ないよう、量を調整しなくてはならない。その作業は複雑で、難易度も高い」(麻酔科医)

 

この表現は、明らかに私のものである。ただし、1カ所、シロウトに書き替えられているところがある。「患者さんに吐き気や頭痛と いった副作用」の部分である。「吐き気や頭痛」ではなく、「吐き気やふるえ」である。「吐き気や頭痛」というのは、脳圧亢進症状と勘違いしているフレーズである。麻酔科医ならこのような間違いはしないのである。

 

薄っぺらな聞きかじりで、医療を知っているかのように記事を書く。記事を捏造する。そして、明らかに間違った情報を読者に流布する。挙げ句の果てに、無断引用。これが論文なら、その人の研究生命は終わる。記者生命は、捏造記事では終わらないのだろうか。のんきな家業でうらやましい。

再度、「週刊現代」に抗議する。これが、最後の通告である。

 

 

週刊現代の副作用コワイよ祭り、手術コワイよ祭りの顛末を週刊プレイボーイが報道! 講談社 vs 集英社

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 数週間前から、あの週刊誌「週刊現代」がいろいろやらかしている。医療現場クライシスとして、先週には週刊プレイボーイがその顛末を報道している。

現実問題として、週刊プレイボーイが報道しているような患者が増え、医療現場ではさらに迷惑を被っている。管理人の家にはもう一人麻酔科医がいる。この麻酔科医も、週刊現代の記事をみてダダをこねる患者の処理に時間をとられ困っているというのである。麻酔科医には術前診察という、手術前に詳細に患者の状態をチェックして診察する機会が必ずある。ここで、あの週刊誌にあった薬をのんでいるけどやめた方がいいかと相談されたり、全身麻酔で手術をしたくないとダダをこねて説得に時間が掛かったことなどの苦情を訴える。その記事に、私が荷担したことになってしまっているため、家でひどく叱られた。麻酔科医は、ただでさえ少ないのに、すんなりと終わるはずの術前診察に時間をとられ、麻酔科医の労務を増加させ過重労働を引き起こす。これでは、患者の命を守るはずの麻酔科医が事故を起こすことにつながりかねない。

 実際、管理人のインタビュー記事が不正に怪しいコメントとして使われ、私自身の名誉を毀損されたことに加えて、医療現場での混乱を引き起こしている。私を知る有能な医療関係者は、そのコメントをみて私がそんなことは言わないことは、分かっているため「ひどい被害に遭ったね。」となぐさめてくれる。また別の友人は、日本麻酔科学会の様な公的団体から厳重に抗議してもらい訂正文を出してもらうように働きかけるとか、訴訟をおこすことも念頭に動いてくれている。私自身も、転んでもただでは起きない性分なので、この記事を書いた記者および週刊現代への100倍返しを着々と進行中である。

 記事は以下、2回掲載されている。特にひどいのは以下のURLにある、

gendai.ismedia.jp

の管理人へのインタビューとして掲載されている引用である。

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全身麻酔では自力で呼吸できなくなりますから、手術がうまくいっても、麻酔から覚めるときに肺に痰などが入って肺炎を起こしたり、脳が酸素不足になって譫妄状態に陥るなど、重い合併症が起きるリスクがあります」(広島大学病院講師の讃岐美智義医師)

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/49080?page=3

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こんなことは、述べていない。適当にインタビューした話から、自分の都合がいいように部分部分をつなげて表現したとしかいいようがない。これを、正しく言い換えると以下の様になる。

全身麻酔は自力で呼吸ができなくなります。麻酔科医がついています。ご安心下さい。全身麻酔をして呼吸ができなくなっても、気道を開通させたり人工呼吸を行うことで手術中にストレスのない身体の状態を維持することができる実力を持っています。麻酔科医は麻酔薬を投与するだけではありません。麻酔薬によって引き起こされる様々な状態に対応することが麻酔科医の仕事です。麻酔科医は麻酔のプロです。」「術前診察は大切です。術前診察時に、これまでにかかった病気、内服している薬や酒、タバコなどについてお聞きします。ウソをつかないように、すべて申告して下さい。特にタバコを吸っている患者さんでは、何年間、何本吸っているのか本当のことを申告して下さい。ご安心下さい。手術が決まればその時点から禁煙をしていただければ、術後に肺炎や低酸素になるリスクを減らすことができます。特に、8週間禁煙が実行できれば、術後の肺合併症が少なくなるエビデンス(証拠)もあります。」「老人などでは、ふだん精神的に何もなくても、手術や麻酔という日常とは異なった体験をしますので、術後にせん妄状態になることがあります。これは、全身麻酔でなくても起こりますので全身麻酔が悪いという話ではありません。せん妄状態は、通常は一過性のもので1週間程度で回復することが多いというのも事実です。」

これを、適当につなぎ合わせて自分の都合のよいような話を作ったと考えられる。そして、この記者のもっとも甘いのは、記事ができあがって掲載する前に、私に査読を受けることなく(みせることなく)掲載してしまったことである。これは、ありえない。

 医学知識もない記者が、このような電話取材だけで正しい記事が書けるわけがない。特に、医学の領域においては必ず、査読をうけて正しいかどうかをみてもらった後に掲載しなければ、間違いを多く含んだ記事になる。

この記事の大半が、この記者の思い込みに基づいた作文であるため、何の役にも立たないどころか読者を震撼させる内容になっているのだ。

また、別の号では、

 

gendai.ismedia.jpのようなタイトルで、私の話としてマイケルジャクソンがプロポフォールでなくなったときの話を引用している。

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手術に麻酔はつきものだが、その危険性は意外に正しく理解されていない。広島大学病院の麻酔科医である讃岐美智義氏が語る。

「麻酔手術は劇薬を使用するため、正しく使わなければ死と隣り合わせであることを理解しなければなりません。

例えば、マイケル・ジャクソンを死に至らしめたのは、日本でも静脈麻酔薬の主流となっているプロポフォールです。呼吸抑制作用があり、投与中は呼吸状態を監視していなければなりませんが、マイケルを診ていた医師は気道確保すらせずその場を離れ、事故が起きたのです」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/48988?page=3

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それ自体は誤りではないが、マイケルジャクソンを見ていたのは麻酔科医ではない。この記事は、拙書「やさしくわかる麻酔科研修!」からの引用ではないかと思われる。

 

やさしくわかる! 麻酔科研修

やさしくわかる! 麻酔科研修

 

 

また、麻酔をするためにプロポフォールを投与したわけではない。睡眠薬が効かなかったのでマイケルに眠らしてくれと懇願されてプロポフォールを投与しその場を離れたのである。麻酔薬と睡眠薬は根本的に管理の方法は異なる。麻酔薬を使っているのだから、息が止まることを想定することが当たり前である。麻酔科医の私を雇ってくれていたらマイケルは死ななかっただろう。これを、麻酔薬のリスクと書いてどうする?この記者、麻酔薬がどの様なものかを理解していないかがよくわかる。麻酔をしようと思って麻酔を開始したならば、このようなことには麻酔科医はなんなく対応できる。そして、内視鏡・腹腔鏡手術のリスクのところに続けて、このような、記者自身が理解不十分の例を書いてどうする。テキトーな内容に仕立て上げられたことに怒りを覚える。

 今回の週刊現代の記事について、全体を通して読み取れるのは、読者を不安に陥れる見出しをつけて適当な内容を作話し、売り上げをドーンとあげたいという週刊現代の利己的な所業である。その、ツケは大きいと考えていただきたい。週刊現代の読者を騙すというだけでなく、医療に対する信頼をおとしめたこと、さらに、インタビューした医師の名誉を毀損したことは許しがたい。断固として抗議する。

週刊現代よ!余計なことはせんでくれ!」その頭では、医療記事を正しく書くことはできない。自分の思ったようにあり得ないストーリーで文章を作らないでくれ!社会に多大な迷惑をかけている。

 この文章を読まれて、週刊現代の悪行を報道したい良識のあるマスコミがいることを願うばかりである。